反省と感謝とこれからと。
肥後橋のカレー店、さぼてん食堂の店主森川です。
昨日の名称変更の件で皆様から暖かいお言葉をもらって本当にくじけずにカレー屋続けてて良かったと心から感謝しています。それから色々と考えて、僕の気持ちみたいなものを伝えてみたいと思ったので凄く長いですが書きました。
僕はこれまでに誇れるような結果を残してきませんでした。なんとなく高校に入って、なんとなく大学に行って、なんとなく就職して、なんとなく脱サラしました。
福岡でお店をするときも最初はお茶漬け屋をやろうとしていました。それもこれといった勝算もなく誰もやってないからという理由でした。
それを高校の同級生に相談したら共通の友人だった「番頭に相談したら?」と言われました。
そこでなんとなく番頭に相談したらボロカスに言われました。
なんで地元鹿児島でやらんのだ?
なんでお茶漬け屋なんだ?
などなどです。
番頭は既に自分で色々な事業をしていて、なんとなく脱サラした僕に対してかなり憤っていました。
その時に
「うどん」「ラーメン」「カレー」
の三択と言われました。
僕はカレーが好きだったのでカレーで勝負しようと思いました。
福岡ではそれなりに有名なカレー屋になれました。けれどお店の厨房が小さくて働いても働いてもしんどいだけでした。その時に番頭に相談しました。
最初は福岡で移転先を探しましたが見つからなくて、番頭の勧めで大阪に来ました。
番頭はとにかく何かをする度に
「それをなぜやった?」
「なぜそれを選んだ?」
と理由を必ず聞いてきました。
最初は適当な理由をつけて返事していましたが、どんどん理由がなくなりました。その理由がなくなると同時にお店の売り上げもやばくなってきました。
ついにどうしようもないところまできかけた時に理由もなくなんとなくするとダメなんだという事がやっとわかりました。
その時に初めて番頭に色々な質問をしました。
番頭はお店に関しては
「美味しいだけではダメ」
だと言いました。
僕の人間性に関しては
「何の為に生きてるのかわからない」
と言いました。
番頭のモチベーションは
「威張れる場所がいっぱい欲しい」
というわけのわからないものでした。
その時にはじめて自分が何の為に生きてるのかわからなくなりました。
お店に関しては美味しいものを作って喜んでもらいたいという一心です。けど、その先の僕の目的がなかったです。
そうこうしていたら
「ぴあ欧風カレー部門」
で準グランプリをもらいました。まずびっくりしました。それと同じくらい感動しました。泣きました。高校大学就職脱サラの時にこれといった結果を何も出せてなかったので生まれて初めて親にも胸をはって自慢出来る事が出来ました。
これだ!と僕は思い、まずは欧風カレー部門でグランプリを取ろうと思いました。凄く色々と考えて、なぜそれをするのかという理由も凄く考えて試行錯誤を繰り返して翌々年に欧風カレー部門でグランプリをもらいました。
次は総合部門でグランプリを取る
と心に決めて頑張ってみましたがその翌年も欧風カレー部門でグランプリでした。
欧風カレー部門でグランプリでも充分ありがたいですし嬉しいのですが、どうしても総合が欲しいと番頭に愚痴をいうと
「ボクシングのチャンピオンが総合格闘技で勝つには組み技とかも勉強せな無理やで」
と言われ、そこで初めてスパイスカレーの勉強を真剣に始めました。最初はピンとこなかったのですが、牡蠣のカレーでみなさんに好評いただけたあたりからなんとなくスパイスカレーとはどんなものか?というのが掴めた気がしました。
それから、僕は少し油断をしてしまっていたと思います。
牛タンの試作の時に番頭が
「なんでスープカレーなん?」
と聞いてきました。
一瞬詰まりました。スパイスカレーを連続で作ってきたので目先を変えたくてスープカレーにしたのですが、その目先をなぜ変えたかったのかの理由を聞かれて答えられませんでした。
その油断が今回の名称変更に繋がったのだと反省しています。ぴあさんの究極のカレーの総合GPを意識し過ぎて少し焦ってしまっていました。
焦らずに自分の美味しいと思うカレー作りをしていきます。
これからもよろしくお願いいたします。